部長の下で乱れたい! - 1/2

 獣人と人間とが共に歩んできた年月はもうかれこれ数十世紀にもなる。
  小学生の頃、歴史の授業で人間の祖先は”猿人”、獣人の祖先は”犬”という生き物だったのだと習ったのをぼんやりと覚えていた。
 人間に地域や見た目、肌の色などによってある程度の種族の区分けがあるように獣人にも種類があり、例えば獣人である自分の母はハスキー種という種族で寒い地域に住んでいた犬の末裔なのだと聞いたことがある。
 そしてそんな母と、純正の人間の父との異種婚によって産まれたのが、自分……一之瀬まこと。
 性別は男。
 平凡に大したイベントもないまま小学校から大学までの学生生活を終え、就活にも特に苦労することもなく、あまり大きいとはいえないが同僚も上司も優しい人たちばかりの会社に就職してかれこれ二年とちょっと。
 入社時と変わらず今日も会社の営業事務を担当している。
 いや、変わらずというのは少し違う。
 つい先日のことだけれど、入社時から二年間あたためた恋に、終止符が打たれた。
 営業部部長、柴種の獣人である朝桐伊墨。
 営業事務、朝桐伊墨とハスキー種の母を持つ混血の一之瀬まこと。
 僕たちは、恋人だ。